60%生活

人生七転び八起き

電話が苦手なブルース

電話が嫌いだ。受けるのもかけるのも。


普通のコミュニケーションも難儀な人間に、顔を見ずにスムーズに会話をしろという。出川哲朗ではないけどそりゃないよ〜と言いたくなる。


販売職をしていた時に、外線を取るのが特に嫌だった。私は耳が遠いから、最初の社名とか人名とかをちゃんと聞き取れる確率が30%くらいだ。


「電話が苦手」という心理も相まって、通話中に頭の中がもわんもわん鳴っていて水中なのかと思うくらいであった。(盛り30%)


結果、取り次ぎの時にニュアンスで社名と人名を伝えていたので、よく「全然違うじゃねーかテメー」と文句を言われていた。


今の職場は電話を取ることがないので天国である。加えて、他の部署の人が電話で話しているのを盗み聞きすることができるのでもう極楽浄土。そしてそれがクレームの電話っぽいと「どんなふうに着地するんだ?」と気になっちゃって自分の仕事そっちのけ。


そんな電話とは一定の距離を置いた関係な私に、久しぶりに試練がやってきた。


「よく知らない人の家電にかける」


家電!今気づいたけどこれカデンじゃなくてイエデンです…当たり前のように我が家には家電がないけど、そりゃ持ってる人もいますわよね。家電があるってちゃんとしたお宅なんだろうなと想像できる。私みたいに燃えるゴミにプラぶっこんだり、扇風機のボタンは足の指で押すものって決めてて手が届く時でも律儀に足でしかも間違ったボタン押しちゃうなんてことしないんだろうな。


そんな扇風機のボタンを手で押すようなしっかりした人に電話するのだから、失礼があっちゃいけない。しかもよく知らない人だから、いつ在宅してるかわからない。


私は天を仰いだ。この試練を乗り越えれば、人として大きく成長できるはず。そして覚悟を決め、目線をスマホに落とし、喉をゴクリと鳴らした。


2コールという最良のタイミングで相手が電話に出た。家族ではなく、本人だった。念のため頭の中で考えていた「本人留守パターンの会話」はこの瞬間に消去した。


そこから軽快なトーンで要件を話し、2、3度の盛り上がりがあって電話を切った。


電話を切ったとき私は泣いていた。(盛り95%)


38歳にして電話というものを攻略した…と達成感があった。それは幼児のオムツが取れたくらいの成長。花が受粉する瞬間。生命の息吹。


ここ最近でいちばん自己肯定感が上がった出来事。


※この文章を書き始めた時に「電話にだれもでんわ」という一文を絶対に入れたいと思っていたけどどこにも入りませんでした。


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